第84章 なんであいつが抱っこされてるんだよ!

使用人の件を片づけたあと、南雲玲奈はようやく落ち着いて食事を取れた。

それから数日、彼女は研究所の業務に追われた。

率いるチームは無駄がない。薬剤成分の配合比から工程、温度や時間の誤差まで、最適解を積み上げていく。

そのぶん開発は目に見えて進んだ。

そんな折、ふと横尾家の噂が耳に入った。

横尾陣の誕生日が近いらしい。横尾家は大々的にパーティーを開き、海城の政財界の名士を広く招くという。

前回、香澄の誕生日で横尾家は面目を潰した。

今回は横尾孝人が公的機関が関わる百億規模の大型案件を落札した直後で、利害を共有する相手を集めたい意図もあり、彼の影響力はまさに頂点に達していた――そん...

ログインして続きを読む